育毛剤の成分はドーピング検査に引っかかるのか? 2017.08.07
皆さんは育毛剤を使用することでドーピング検査に引っかかることがあるのをご存知ですか?
「育毛剤を使用しているだけ検査に引っかかるの!?」
と驚かれる方も多くいらっしゃるかと思いますが、実はこれにはきちんとした理由があります。
今回は、育毛剤を使用してドーピング検査で陽性反応が出た理由を実例も交えてご紹介します。
育毛剤はドーピング検査に引っかかる可能性がある
「育毛剤を使用していてドーピング検査に引っかかった。」
一見冗談のようにも聞こえますが、これは現実に起こりうることです。
実際に、育毛剤を使用していて検査に引っかかったスポーツ選手も何名か存在します。
ケース1:福岡ソフトバンクホークスのリッキーガトームソン
ガトームソン選手は、東京ヤクルトスワローズと福岡ソフトバンクホークスで活躍した外国人選手です。
この選手は2007年8月にドーピング検査で陽性反応が確認されその後、20日間の出場停止処分を受けました。
その後の調べで、原因は育毛剤のプロペシアであると分かりましたが、ガトームソン選手が所属していた球団には750万円の罰金が科されました。
ケース2:ブラジル代表FWのロマーリオ
ロマーリオ選手は欧州リーグでも非常に活躍したサッカーブラジル代表の選手です。
この選手もガトームソン選手と同じく、2007年12月に育毛剤が原因でドーピング検査で陽性反応が検出され、120日間の出場停止処分を受けました。
ロマーリオ選手もガトームソン選手と同じプロペシアが原因であり、2007年に2人も同じ理由で検査に陽性反応が出たので、この時は世間でも大きな話題になりました。
育毛剤がドーピング検査で陽性反応が検出された原因
ガトームソン選手とロマーリオ選手の二人が利用していたプロペシア。
このプロペシアは、AGA(男性型脱毛症)に効果のある育毛剤として2005年に発売されてから非常に高い人気を誇っています。
そして、このプロペシアにはフィナステリドという成分が含まれており、この成分が検査で陽性反応が検出された原因です。
プロペシアがAGAに効果的なのは男性ホルモンを抑制するから
プロペシアはAGAの患者に非常に高い人気を誇っているAGAの治療に特化した育毛剤です。
これはプロペシアに含まれるフィナステリドという成分が、AGAの原因である男性ホルモンの一種ジヒドロテストステロンを抑制するからです。
ジヒドロテストステロンは脱毛や薄毛の原因になる悪玉男性ホルモンで、フィナステリドはこのジヒドロテストステロンの生成を抑制するので、薄毛の進行防止に有効とされています。
ドーピング検査にフィナステリドが引っかかる理由
プロペシアに含まれるフィナステリドは利尿作用があり、さらに先程も説明したように男性ホルモンを抑制します。
この効果は、筋肉増強剤の使用を隠蔽することにも利用できるため、ドーピング検査では禁止薬物の一つとして認定されてます。
しかし、流石にドーピング検査で育毛剤が陽性反応が出るのはどうかということで、フィナステリドは2009年に禁止薬物から除外されていますので、現在プロペシアを使用しても検査に引っかかるということはありません。
プロペシアはドーピング以外に前立腺がんの検査にも引っかかる
現在は大丈夫ですが、禁止薬物として認定されていたプロペシアに含まれるフィナステリド。
しかし、ドーピング検査に以外でもフィナステリドは思わぬ検査に引っかかる恐れがあります。
それが、胃がん・大腸がん・肺がんに次いで男性の罹患率が4番目に高いと言われる前立腺がんの検査です。
育毛剤の成分が前立腺がんの検査にも引っかかるとは驚きですよね。
フェナステリドはPSA値を半減させる
PSA値とは、その値が高いほど前立腺がんの可能性が高くなるという数値です。
そして、フェナステリドこのPSA値を半減させてしまう可能性があります。
つまり、前立腺がんの可能性があってもプロペシアを服用していれば、そのことに気が付かないまま症状が進行してしまう恐れがあるということです。
前立腺がんの検査の2ヶ月前には服用を控える
フィナステリドの効果は強力なため、プロペシアの服用を止めてもしばらくはPSA値にその影響が出てしまいます。
そのため、1週間程度プロペシアの服用を控えただけでは、検査へ影響が出る可能性も充分に考えられます。
もし、前立腺がんの検査を受ける予定がある方は2ヶ月程度はプロペシアの服用を控えてください。
現在は育毛剤を使用してもドーピング検査には引っかからない
過去に育毛剤でドーピング検査に引っかかった事例はいくつか存在します。
これらは、いずれもプロペシアという育毛剤に含まれるフィナステリドが原因です。
フィナステリドは男性ホルモンに作用するため、筋肉増強剤の使用を隠蔽することにも利用できます。
そのため、禁止薬物に指定されていましたが、2009年にフィナステリドは禁止薬物リストから除外されています。
これによって、現在は育毛剤がドーピング検査に引っかかることはないので、このようなニュースを聞くことは今後ないでしょう。